近年、一部の高級焼肉店で取り扱われている「枯らし熟成肉」という言葉をご存知でしょうか。枯らし熟成肉とは牛肉の熟成方法です。この熟成工程によって、肉には独特の香りと味が生まれ、通常の牛肉よりもより柔らかくなります。

熟成工程としては、特別な熟成庫に吊るして保存します。熟成庫内の温度・湿度を調整し、肉を乾燥させることで熟成が進みます。焼肉つついでは14日前後の熟成期間を設けております。より長い期間熟成させたものは、より深い味わいと香りが生まれ、さらに高級品となります。「解体から提供まで短時間 = 鮮度が良い = 美味しい」という考え方をすると熟成期間無く提供できたほうが良いと思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが解体後期間を置く、このような熟成方法によって非常に美味しいお肉を提供できるのです。

枯らし熟成肉は、熟成期間が長いために肉の減量率が高く、その分価格も高くなります。また今では日本国内の特定の地域でしか行われていないため、入手困難です。しかし、その独特な味わいと香りは、一度は味わってみるべき肉のひとつと言えるでしょう。
また、枯らし熟成肉の場合、赤身と脂身のバランスが非常に重要です。脂身が多すぎると、熟成が進んでも脂身の風味が強くなり、旨味や風味がマイルドになってしまいます。一方、赤身が多すぎると、熟成が進んでも風味や旨味が深まりにくくなってしまいます。そのため、適切なバランスの肉を選ぶことが重要です。このバランスが良かったのがA4等級の雌牛でした。

枯らし熟成肉は、旨味が濃く、肉質が柔らかいことが特徴的です。この理由は、熟成の過程で、肉中の酵素が働き、肉のタンパク質が分解されることにより、肉質が柔らかくなると同時に、旨味成分も豊富になるためです。そのため、枯らし熟成肉を食べると、肉の旨味が口いっぱいに広がり、口当たりも滑らかな食感を楽しむことができます。