枯らし熟成がなぜ美味いのか。それは「旨味成分」が豊富に含まれているからです。枯らし熟成肉は、熟成期間内に肉の酵素や微生物の働きによってたんぱく質が分解され、アミノ酸が増えます。このアミノ酸が旨味の主成分であり、肉の旨味を引き出す重要な役割を果たします。アミノ酸のうち、特にグルタミン酸やアスパラギン酸は、肉の旨味を引き出す上で重要な役割を果たしています。枯らし熟成肉は、肉本来の風味が豊かであるため、脂肪分が豊富でもあまりクドくならず、食べ応えもあります。
 
このような肉質の変化は、ほかの熟成にはない、独特の深い味わいを生み出します。また、長期間にわたって管理された環境によって、お肉が持つ酸味や苦味が減り、甘味が増すことも美味しさの理由のひとつです。
また、枯らし熟成肉は、その熟成の過程で「酸化」という現象が起きます。酸化とは、酸素と反応して変色することを指します。肉は酸素と接触することで、鮮度が落ちてしまいますが、適度な酸化は肉の旨味や風味を引き出すために重要な役割を果たします。この適度な酸化が、枯らし熟成肉を美味しく仕上げるポイントです。

以上のように、枯らし熟成肉が美味しいのには、アミノ酸や脂肪分、酸化などの理由があります。しかし、それだけでなく、焼くときには適切な温度で、適切な時間をかけてじっくりと焼き上げる（とは言え、焼き過ぎはNGです←ここポイントです！）ことが、枯らし熟成肉の美味しさを引き出す秘訣でもあります。焼き加減や食べ方にもこだわることで、枯らし熟成肉をより一層美味しく堪能することができるでしょう。